新RoHS指令:改訂後のANNEXT(付属書T)


英国は2020年2月1日、EUから離脱しました。(「合意なき離脱(ノー・ディール)」は回避されました)
英国へ製品を輸出している企業やその企業に関連する商流にある企業については、RoHSを含めたCEマーキングに代わる対応が新たに必要になる可能性があります。
※ちなみにUKCAマーキングについてはJETROの概要解説ページを参考に。

RoHS指令改正による規制対象製品のオープンスコープ化

改正RoHS指令(2011/65/EU)の規制対象製品は、旧RoHS指令(2002/95/EC)の規制対象10カテゴリに加えて、「その他の電気電子機器」として新たに11番目のカテゴリを設定し、対象範囲を拡大させました。
この改正により、除外される製品はあるものの、基本的には定格電圧で、AC(交流)1,000V以下またはDC(直流)1,500V以下の電気電子機器は全て改正RoHS指令の対象製品になります。

 

ちなみに、定格電圧は、入力側の電圧で判断します。
対象範囲の拡大のことを、オープンスコープ化などとも呼んでいます。

 

もともと旧RoHS指令の対象範囲を示すカテゴリは、WEEE指令で設定されており、ANNEX(付属書)TAに10カテゴリ、ANNEXTBに具体的な対象製品(機種)が記載されていましたが、今回の改正では、改正RoHS指令のANNEXT(付属書T)で11カテゴリを設定するのみとなりました。
よって、2011年7月1日時点で具体的な対象製品を指し示すものはなく、各企業が独自で対象か非対象かを判断することになります。

改正RoHS指令の対象範囲

ご参考:ANNEX I(付属書T)の和訳

Categories of EEE covered by this Directive
(改正RoHS指令によって適用される電気電子機器(EEE)のカテゴリ)

 

カテゴリ
No.
原文 和訳
1 Large household appliances. 大型家庭用電気機器
2 Small household appliances. 小型家庭用電気機器
3 IT and telecommunications equipment. 情報技術(IT)および電気通信装置
4 Consumer equipment. 民生用電子機器
5 Lighting equipment. 照明装置
6 Electrical and electronic tools. 電気電子工具(大型の定置型工作機械を除く)
7 Toys, leisure and sports equipment. 玩具、レジャーおよびスポーツ用品
8 Medical devices. 医療用機器
9 Monitoring and control instruments including industrial monitoring and control instruments. 監視および制御装置
10 Automatic dispensers. 自動販売機
11 Other EEE not covered by any of the categories above. 上記のカテゴリに適用されないその他の電気電子機器

 

改正RoHS指令では、新しく規制対象になるカテゴリ(製品)があり、それぞれに適用時期(規制開始日)が違うので注意が必要です。

改正RoHS指令の適用範囲とカテゴリ関連記事

対象製品の規制開始日
改正RoHS指令(2011/65/EU)では、医療用機器、監視・制御装置、その他の電気電子機器の3つのカテゴリで新たに規制が開始されます。
適用除外製品
改正RoHS指令(2011/65/EU)では、全11カテゴリが指定されていますが、適用除外製品が指定されています。
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改正RoHS指令(2011/65/EU)で規制される物質は旧RoHS指令(2002/95/EC)で規制されていた6物質のままで新規の追加はありませんでしたが、定期的に見直す物質として4物質が挙げられています。
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