新RoHS指令の規制物質とREACHのSVHC


英国は2020年2月1日、EUから離脱しました。(「合意なき離脱(ノー・ディール)」は回避されました)
英国へ製品を輸出している企業やその企業に関連する商流にある企業については、RoHSを含めたCEマーキングに代わる対応が新たに必要になる可能性があります。
※ちなみにUKCAマーキングについてはJETROの概要解説ページを参考に。

改正RoHS指令の改訂によって新規追加の可能性がある物質

2011年7月21日に施行された改正RoHS指令(2011/65/EU)では、kiseibussitunoudoのページでも説明しましたが、新規で追加になった規制物質はありません。
ですが改正RoHS指令の前文で以下のような文があり、REACH規則の付属書]W(認可物質リスト)、付属書]Z(制限物質リスト)を考慮して定期的に見直すことになっています。

 

The annexes to this Directive should be reviewed periodically to take into account, inter alia, Annexes XIV and XVII to Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH) and establishing a European Chemicals Agency.

 

また、特に優先的に考慮する物質として、以下の4物質が挙げられています。
これら4物質の主な用途としては、樹脂の可塑剤、難燃剤などがあります。

 

定期的に見直す物質 物質名和訳
Hexabromo cyclododecane ヘキサブロモシクロドデカン (HBCDD)
Bis (2-ethylhexyl) phthalate フタル酸ジ-2-エチルヘキシル (DEHP)
Butyl benzyl phthalate フタル酸ブチルベンジル (BBP)
Dibutyl phthalate フタル酸ジブチル (DBP)

 

なお、ナノ材料(ナノ物質)については、「より環境にやさしい代替品へ替えることが望ましい」とあります。

新規追加物質とREACH規則との関係

今回のRoHS指令改正では、上記のフタル酸系を中心とした物質が定期的に見直す物質として挙げられています。
これら4物質は、REACH規則の付属書]W(通称:認可物質リスト)に既に収載されている物質で、原則的には上市が禁止されます。
ただし、用途ごとに認可を受ければ輸入や使用は可能であり、これら4物質については以下の期限までに認可を受けなけば輸入や使用が禁止されます。
HBCDD:2015年8月21日
DEHP、BBP、DBP:2015年2月21日

 

ちなみに認可物質リストは、SVHCの中から選ばれます。
SVHCとは、認可対象候補物質リスト、SVHCリストとも呼ばれていますが、Candidate Listに収載された物質のことを指しており、2011年7月末現在では53物質が特定されています。
SVHCの最新情報はこちらのCandidate List収載SVHCのカテゴリを参照ください。

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