クロメート処理しためっきの六価クロム濃度の求め方は?
六価クロムが含有されている代表的なものに、ネジやナットのめっき後のクロメート処理で生成されるクロム酸の皮膜が挙げられます。
一般的には、亜鉛めっきの耐食性向上のため、後処理(化成処理)でクロメート処理というものを行いますが、ここで生成される皮膜(クロメート層)に六価クロムが含有しています。
現状では、代替品として三価クロムの皮膜が生成される処理液が市場に出回っており、かなりの電気電子機器で六価クロムから三価クロムへと代替化されてきています。
三価クロメート処理へ変更した場合は、六価クロメート処理液との混合等に気をつけていれば特に問題はないと思いますが、六価クロメート処理されている場合は、RoHS指令に非適合になってしまいますので注意が必要です。
亜鉛めっき層とクロメート処理層は別々に計算する!?
よく質問されるのが、この六価クロムの含有濃度を計算するのにめっき層として亜鉛めっき層とクロメート処理層を一緒にしてもよいか(合計した数値を使ってもよいか)、ということです。
結論を先に書きますが、亜鉛めっき層とクロメート層は別々の材料として扱うのが基本です。
RoHS指令での均質材料の定義のページで均質材料(均一材料)についての定義を説明しましたが、機械的に分離できるものは別の材料として扱うという内容になっています。
つまり、クロメート処理層は研磨することによって亜鉛めっき層と分離でき、異なる材料に分けられると考えられるので、各々の層をを均質材料としなければいけないと読み取れます。
よって、各々の層ごとに規制物質の含有濃度を計算する必要があります。
JAMPのAISフォーマットではどう記載するか
最近の電気電子機器(それ以外も含めて)業界での含有化学物質調査は、JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が提供しているMSDSPlusやAISといったフォーマットが使われるようになってきました。
MSDSPlusは主に化学物質についての情報提供フォーマットで、AISは成形品(組立品)についての情報提供フォーマットとして利用されます。
このAISの入力項目中に、成形品の質量や材料の質量という項目がありますが、例えば亜鉛めっき付(クロメート処理層あり)のナットの場合は以下を入力することになると考えられます。
- 成形品質量:ナットの質量
- 材料質量:@ナットの素材(鉄など)の質量、A亜鉛めっき層分の質量、Bクロメート処理層分の質量
蛍光X線分析装置では、元素の分析はできますが、六価クロムと三価クロムの区別はつきませんので注意が必要です。
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