EU指令と適用国


英国は2020年2月1日、EUから離脱しました。(「合意なき離脱(ノー・ディール)」は回避されました)
英国へ製品を輸出している企業やその企業に関連する商流にある企業については、RoHSを含めたCEマーキングに代わる対応が新たに必要になる可能性があります。
※ちなみにUKCAマーキングについてはJETROの概要解説ページを参考に。

EUの「規則、指令、決定、・・・」が適用される国

EUのREACH規則やRoHS指令等の対象国は、実はEU(欧州連合)加盟国ばかりではありません。

 

このサイトでも便宜上、分かりやすくするために「EU加盟国」や「EU域内」といった表現をしているところがありますが、実際には各々の規制類に対して適用される(対象になる)国は、「EU加盟国」だけでない場合が多々あります。

 

RoHS指令(2002/95/EC)の場合

RoHS指令(改正前の旧RoHS指令)は、EU二次法である「指令」なので、対象国はEU加盟国ということになります。
RoHS指令の原文を見てみると、第11条に「本指令は、加盟国に宛てられる。」とあります。

 

RoHS指令対象国は、2006年7月(RoHS指令施行時)では25ヶ国でした。
仮に、2014年1月現在で当てはめると、対象国は28ヶ国になるということです。(2002/95/ECは現在では廃止されているのでありえないことですが)

 

<RoHS対象国:計25ヶ国>(2006年7月時点)
アイルランド、イタリア、英国、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク

 

ここで注意しておきたい点は、対象国でない場合(この例の場合はEU加盟国以外の国)は、その国内で「指令」よりも厳しい規制を制定することができるという点です。

 

EU加盟国ではないノルウェーが、2007年頃、消費者向製品に対して含有禁止18物質を指定したPoHS(スーパーRoHS)の施行を目指したのは記憶に新しいところです。(結果的には施行されていない)

 

RoHS2(2011/65/EU)の場合

RoHS2(改正RoHS指令)も、EU二次法である「指令」です。

 

RoHS2の原文を見てみると、第28条に「本指令は、加盟国に宛てられる。」とあるように、基本的にはEU加盟国に対して宛てられた指令だということが分かりますが、一方で、「(Text with EEA relevance);EEA関連テキスト」とも記載があることが分かります。(「Text with EEA relevance」は、欧州経済地域関連文書と訳されることもあります。)

 

つまり欧州経済地域(EEA)の国にも関連するということで、大雑把に(簡単に)言い換えれば、EEA参加国(詳細は以下)にも同様に、この指令が適用されるということになります。

 

もう少し詳しく言うと、「(Text with EEA relevance)」と記載があったら、「EEAにスイスとトルコを加えた国」を対象として考えたほうがよい、ということです。
具体的に対象国を挙げると以下のようになります。

 

<RoHS2対象国:計33ヶ国>(2014年1月現在)
RoHS2ではCEマークの貼付を義務付けていますので、もちろん、CEマーキングの対象国もRoHS2と同じになります。
つまり、CEマーキングが必要になるEU域内の対象国は、2014年1月時点で33ヶ国です。

  • EU加盟国(計28ヶ国)
    アイルランド、イタリア、英国、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク
  • スイスを除くEFTA加盟国(計3ヶ国)
    アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン
  • スイス
  • トルコ

 

規則、指令等の規制類の対象国になりうるヨーロッパ各国の連合体、共同体などは、こちらのEU、EFTA、EEAとEUの法令対象国のページを参考にしてください。

EUの「規則、指令、・・・」の対象国関連記事

EU加盟国一覧
EU(欧州連合)の加盟国および加盟候補国の一覧です。また、規則や指令、決定などの二次法との関連について解説します。
EU法令「規則、指令、決定」とは
EU(欧州連合)の法令体系について解説します。EUには一次法や二次法などがあり、RoHS指令やREACH規則は二次法に該当します。
EUの法令「EEC、EC、EU」の違い
EU(欧州連合)の規則、指令、決定等の法令は、「EEC、EC、EU」と番号、年の組み合わせで番号がついています。「EEC、EC、EU」の違いを解説します。
EU、EFTA、EEAとEU法令対象国
EU,EFTA,EEAなど、ヨーロッパ各国の連合体、共同体などの一覧です。REACH規則やRoHS指令、CEマーキングの対象国と深い関わりがあります。