RoHS2 新規追加候補4物質一覧(2013年10月)
RoHS指令では、使用が制限される物質(規制物質)として6物質が定められていますが、この制限物質は定期的な見直しが行われることになっています。
11物質が候補の物質(詳細な評価を行う物質)として挙がっていましたが、最終的に以下の4物質に候補が絞られたようです。
追加候補物質・規制濃度(閾値)
- Hexabromocyclododecane[HBCD(HBCDD)]ヘキサブロモシクロドデカン:3194-55-6
(異性体混合物のCAS No.は25637-99-4)
- Bis (2-ethylhexyl) phthalate[DEHP]フタル酸ジ-2-エチルヘキシル:117-81-7
- Butyl benzyl phthalate[BBP]フタル酸ブチルベンジル:85-68-7
- Dibutylphthalate[DBP]フタル酸ジ-n-ブチル(フタル酸ジブチル):84-74-2
いずれもREACHの認可対象物質であり、また、RoHS2では、優先的に評価する物質として挙がっていた物質です。
なお、HBCDはPOPs条約で、附属書A(廃絶)に追加されることが決定している物質でもあります。
この4物質のうちDEHPは、電機電子業界では電線の被覆やプラスチックの可塑剤など、ごくごく普通に使われている物質です。
含有濃度は数%程度、中には10%を超えるものもあるらしいという情報もあります。
HBCDについては、POPs条約を受け、日本では化審法で規制(禁止)されることになるので、成形品のみを扱っている企業はさほど問題にしなくてもよさそうです。
4物質が候補に挙がっていますが、HBCDはPOPs条約の絡みもあるので、RoHS指令では規制の追加物質には挙がらない可能性もあるようです。
適用開始時期
RoHS2の改正(改定)が2014〜2015年頃、そこから猶予期間が1年〜1年半くらいあると見込まれているので、適用開始時期は2016〜2017年頃になりそうです。
参考:RoHS指令の規制物質について
RoHS指令では、規制物質(禁止物質)は各々の物質での規制値(閾値)が定められています。
RoHS指令改正時の規制物質・規制濃度(閾値)は以下の6物質です。
- 鉛:1,000ppm(0.1%)
- 水銀:1,000ppm(0.1%)
- 六価クロム:1,000ppm(0.1%)
- PBB(ポリ臭化ビフェニル):1,000ppm(0.1%)
- PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル):1,000ppm(0.1%)
- カドミウム:100ppm(0.01%)
規制物質については、定期的に見直しが行われます。
先回の見直し(RoHS改正)では、規制物質の追加は行われず、代わりにRoHS指令本文に優先的に評価する物質として上記4物質が記載されました。
新規規制物質から外れた5物質
RoHS指令の新規の追加規制物質の候補としては、当初、コンサル会社であるOko-Institutからの提案で、9物質が挙げられていましたが、最終的に以下の5物質は提案から外れています。
- Tetrabromo bisphenol A[TBBP-A](テトラブロモビスフェノールA)
- Medium-chained chlorinated paraffins[MCCP](中鎖塩素化パラフィン)
- Short-chained chlorinated paraffins[SCCP](短鎖塩素化パラフィン)
- Nonylphenol/Nonylphenol ethoxylates(ノニルフェノール/ノニルフェノールエトキシレート)
- Organochlorine and organobromine compounds(有機塩素剤/有機臭素化合物)
今回の改正RoHS指令案では新規の規制追加物質とはなりませんでしたが、REACHのSVHCやノルウェーのPoHS(スーパーRoHS法)で提案されている物質もあり、今後の動向に目が離せません。
最新情報には目を光らせておきたいところです。
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