20次SVHCリスト(Candidate List候補)



第20次 SVHCリスト候補物質(6物質)

 

2018年9月4日、第20次SVHC候補物質のパブリックコンサルテーションが始まりました。
パブリックコンサルテーションとは、簡単に言えば、提案の内容に対して意見を募集し、その内容を検討して案に反映しますよ、ということです。
今回の提案は6物質で、Deadline(コメントの受付終了日)は2018年10月19日までです。

 

ECHAトップページの「Public Consultations」から、こちらの Substances of very high concern identification のページへ飛ぶと最新内容が確認できます。

 

REACH 第20次SVHC追加候補6物質一覧

英語と日本語での和訳は以下。
表の下、横スクロールで表の右側が参照できます。

No.

物質名

物質名和訳

EC Number

CAS登録番号

提案理由

1 2,2-bis(4'-hydroxyphenyl)-4-methylpentane 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、4,4'-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール 401-720-1 6807-17-6 第57条c)Toxic for reproduction:生殖毒性
2 Benzo[k]fluoranthene ベンゾ[k]フルオランテン 205-916-6 207-08-9 第57条a) Carcinogenic:発がん性

第57条d)PBT:難分解性、蓄積性および毒性を有する物質
第57条e)vPvB:極めて高い難分解性と蓄積性を有する物質

3 Fluoranthene フルオランテン 205-912-4 206-44-0 第57条d)PBT:難分解性、蓄積性および毒性を有する物質

第57条e)vPvB:極めて高い難分解性と蓄積性を有する物質

4 Phenanthrene フェナントレン 201-581-5 85-01-8 第57条e)vPvB:極めて高い難分解性と蓄積性を有する物質
5 Pyrene ピレン 204-927-3 129-00-0 第57条d)PBT:難分解性、蓄積性および毒性を有する物質

第57条e)vPvB:極めて高い難分解性と蓄積性を有する物質

6 Undecafluorohexanoic acid and its ammonium salt ウンデカフルオロヘキサン酸およびそのアンモニウム塩(ウンデカフルオロヘキサン酸アンモニウム) 206-196-6、244-479-6 307-24-4、21615-47-4 第57条f)Equivalent level of concern having probable serious effects to human health and environment

人の健康と環境に重大な影響を及ぼす可能性のある同等レベルの懸念事項

 

 

 

SVHCとは「Substances of Very High Concern」の略で、高懸念物質と訳されています。

 

また、REACH規則 第57条では以下のように物質の有害性を定めていて、何段階かの手順を踏みますが、最終的に有害性の高い物質は「認可対象物質」としてANNEX XIV(付属書14:認可物質のリスト)に収載されることになります。

 

【REACH規則 第57条で定められている有害性の区分】

(a)指令 67/548/EECに従って、発がん性区分1または区分2の分類規準を満たす物質
(b)指令 67/548/EECに従って、変異原性区分1または区分2の分類規準を満たす物質
(c)指令 67/548/EECに従って、生殖毒性区分1または区分2の分類規準を満たす物質
(d)本規則の附属書XIIIに定める規準に従って、難分解性、蓄積性および毒性を有する物質
(e)本規則の附属書XIIIに定める規準に従って、極めて高い難分解性と蓄積性を有する物質
(f)内分泌かく乱性を有するか、または難分解性、蓄積性および毒性を有するか、

または極めて高い難分解性と蓄積性を有するような物質であって、(d)または(e)の規準を満たさないが、(a)から(e)に列記した他の物質と同等レベルの懸念を生じさせるような、人または環境に対する重大の影響をもたらすおそれがあるという科学的証拠があり、かつ第59条に定める手続きに従ってケース・バイ・ケースで特定される物質

 

物質の用途

今回の特徴は、またコールタールやピッチに関連した物質、ピレンが候補として挙がっています。
最近はPAH(多環芳香族炭化水素)の規制が多くなってきていますね。

 

こちらの環境省の資料によれば、ピレンはコールタール中に含有しており、コールタールの主な用途は、タール製品原料、防錆塗料、魚網染料、油煙、燃料、道路舗装、屋根塗装、鋳鉄管塗装、防水塗装、電極粘結剤とされています。

 

コールタールというと、海岸付近の家の塗装(つまり防錆塗料、屋根塗料)くらいしか知らなかったのですが、いろいろな用途がありますね。

 

また工業用製品でいうと、こちらの文献にあるように、発光性を利用した蛍光センサ、蛍光色素の用途として使われているようです。

 

SVHCの最新物質数と今後

SVHCは、第19次SVHCまでで、191物質がSVHCリストに収載されています。
今回の第20次候補物質6物質がSVHCとして確定した場合、191+6=197物質がSVHCリストに収載されることになります。
※ここでいう「SVHCリスト」とは、Candidate List、または付属書14(認可物質のリスト)の候補物質のことです。

 

第20次SVHCリストが確定するのは2018年12月頃、第21次SVHC候補リストが公開されるのは2019年2月または3月頃と予想されます。

 

第20次SVHC候補6物質一覧(2018年9月4日)関連記事

SVHC候補16物質一覧(2008年6月)
REACHのSVHCリストの掲載候補として、16物質が公開されました。
パブリックコメント募集の後、SVHCが決定されます。
第2次SVHC追加候補物質(2009年9月)
SVHC追加候補物質が2009年9月1日に公表されました。
第2次のSVHCリスト掲載候補物質で、15物質あります。
第3次SVHC追加候補物質(2010年3月)
REACHのSVHCとして、第3次追加候補物質が公表されました。
今回はホウ酸類とニクロム酸類が含まれています。
第4次SVHC追加候補物質(2010年8月)
第4次のSVHCリスト(Candidate List)追加候補11物質が公表されました。2010年10月14日まで、コメントが受け付けられています。
第5次SVHC候補7物質(2011年2月)
第5次のSVHCリスト(Candidate List)への追加候補物質として7物質が挙がりました。
第6次 SVHC候補物質一覧(2011年8月)
第6次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として、2011年8月29日、20物質のパブリックコンサルテーションが開始されました。
第7次SVHC候補13物質一覧(2012年2月)
第7次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに13物質が候補に挙がり、2012年2月28日からパブリックコンサルテーションが開始されています。
第8次SVHC候補54物質一覧(2012年9月)
第8次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに54物質が候補に挙がりました。54物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第9次SVHC候補10物質一覧(2013年3月)
第9次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに10物質が候補に挙がりました。10物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第10次SVHC候補7物質一覧(2013年9月)
ECHAが、SVHC(Candidate List収載物質)案として7物質を提案しました。今回は、顔料や染料が挙がっているのが特徴です。7物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第11次SVHC候補4物質一覧(2014年3月)
第11次SVHC候補物質として4物質のコンサルテーションが始まりました。物質名の和訳とCAS No.などを解説します。
第12次SVHC候補10物質一覧(2014年9月)
2014年9月1日、第12次SVHC候補物質として10物質のコンサルテーションが始まりました。RoHS2追加物質見込みのフタル酸4物質が再提案されているところが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第13次SVHC候補2物質一覧(2015年3月)
2015年3月2日、第13次SVHC候補物質として2物質のコンサルテーションが始まりました。どちらも混合物としても指定されているところが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第14次SVHC候補7物質一覧(2015年8月)
2015年8月31日、第14次SVHC候補物質のコンサルテーションが始まりました。今回は第9次に詳細を検討するとしていた2物質が追加になっているのが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第15次SVHC候補4物質一覧(2016年2月)
2016年2月29日、第15次SVHC候補物質のコンサルテーションが始まりました。今回SVHC候補物質(Candidate List収載物質)として挙がったのは4物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第16次SVHC候補6物質一覧(2016年9月)
2016年9月6日、第16次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は6物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第17次SVHC候補2物質一覧(2017年3月)
2017年3月9日、第17次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は2物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第18次SVHC候補9物質一覧(2017年9月)
2017年9月5日、第18次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は9物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第19次SVHC候補8物質一覧(2018年3月)
2018年3月8日、第19次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は8物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第21次SVHC候補3物質一覧(2019年3月13日)
2019年3月13日、第21次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は3物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第22次SVHC候補4物質一覧(2019年9月3日)
2019年9月3日、第22次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は4物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第23次SVHC候補5物質一覧(2020年3月3日)
2020年3月3日、第23次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は5物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第24次SVHC候補2物質一覧(2020年9月1日)
2020年9月1日、第24次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は2物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。