認可候補物質リスト(SVHC)候補



第6次のSVHC(認可候補物質)リストの候補物質

 

REACHのSVHCリスト(Candidate List、認可候補物質リスト)の追加物質として、2011年8月29日、新たに20種類の高懸念物質(18物質+条件変更の2物質)が発表され、パブリックコンサルテーションが開始されました。
SVHC候補についてのコメントは10月13日まで受け付けられます。

 

ECHAのプレスリリースはこちらから確認できます。(原文です。邦訳版ではありません。)

 

今回の第6次の候補物質全てがSVHCとして特定されれば、第5次までのSVHC53物質に18物質が追加され、合計71物質になります。
(追加候補物質が20種類並んでいるのに18物質しか追加にならない理由は以下で解説)

 

REACH 第6次SVHC追加候補20物質

No. 英語表記の物質名
[略した名称他]
日本語訳、慣用名他 EC No. CAS No
1 Dichromium tris(chromate) トリス(クロメート)ニクロム,クロム酸/クロム(V) 246-356-2 24613-89-6
2 Potassium hydroxyoctaoxodizincatedi-chromate ヒドロキシオクタオキソ二亜鉛酸二クロム酸カリウム 234-329-8 11103-86-9
3 Pentazinc chromate octahydroxide クロム酸八水酸化五亜鉛 256-418-0 49663-84-5
4 Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres [RCF] アルミノケイ酸塩耐火性セラミック繊維
5 Zirconia Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres [Zr-RCF] ジルコニアアルミノケイ酸塩耐火性セラミック繊維
6 Formaldehyde, oligomeric reaction products with aniline [technical MDA] ホルムアルデヒド、アニリンによるオリゴマー反応生成物(工業的なMDA) ※1 500-036-1 25214-70-4
7 Bis(2-methoxyethyl) phthalate ※2 フタル酸 ビス(2-メトキシエチル) 204-212-6 117-82-8
8 2-Methoxyaniline; o-Anisidine 2-メトキシアニリン;o-アニシジン 201-963-1 90-04-0
9 4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol, (4-tert-Octylphenol) 4-(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、4-tert-オクチルフェノール ※3 205-426-2 140-66-9
10 1,2-Dichloroethane 1,2-ジクロロエタン 203-458-1 107-06-2
11 Bis(2-methoxyethyl) ether ジエチレングリコールジメチルエーテル,ビス(2-メトキシエチル)エーテル 203-924-4 111-96-6
12 Arsenic acid ヒ酸 231-901-9 7778-39-4
13 Calcium arsenate ヒ酸カルシウム 231-904-5 7778-44-1
14 Trilead diarsenate ヒ酸鉛 222-979-5 3687-31-8
15 N,N-dimethylacetamide [DMAC] N,N-ジメチルアセトアミド 204-826-4 127-19-5
16 2,2'-dichloro-4,4'-methylenedianiline [MOCA] 2,2'-ジクロロ-4,4'-メチレンジアニリン 202-918-9 101-14-4
17 Phenolphthalein フェノールフタレイン 201-004-7 77-09-8
18 Lead azide Lead diazide アジ化鉛,ジアジド鉛(U) 236-542-1 13424-46-9
19 Lead styphnate スチフェニン酸鉛,トリシネート,鉛(U)2,4,6-トリニトロベンゼン-1,3-ジオラート 239-290-0 15245-44-0
20 Lead dipicrate 二ピクリン酸鉛,ビスピクリン酸鉛(U),鉛(U)ビス(2,4,6-トリニトロベンゼン-1-オラート) 229-335-2 6477-64-1

 

※1:technical MDAについては、工業的なMDAと和訳しましたが、technicalには

技術的なとか専門的なとかという意味もあり、どう訳せばいいか悩んでいます。
プラントなどで製造される工業製品を指しているのかなと思いますが・・・。

 

※2:フタル酸ビス(2-メトキシエチル)をDBPと略して書くこともあるようですが、

フタル酸ジブチルのDBPと混乱しそうなので記載していません。

 

※3:tertの読み方はターシャリーです。

2種類の耐火性セラミック繊維について

第6次 SVHCリスト(Candidate List)の追加候補物質として一覧に並んでいる20物質のうち、Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres [RCF]とZirconia Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres [Zr-RCF]については、第2次追加物質として既にSVHCリスト(Candidate list)に追加されている物質です。

 

なぜ今回またリストに挙がったのだろう、何が違うのだろうと思いよく見てみると、第2次SVHC追加のときにはEC規則による濃度条件がありましたが、今回のリスト中には濃度条件がないことに気がつきます。

 

第2次SVHCリスト(Candidate list)中では、

Aluminosilicate Refractory Ceramic Fibres are fibres covered by index number 650-017-00-8 in Annex VI, part 3, table 3.2 of Regulation (EC) No 1272/2008, and fulfil the two following conditions: a)・・・

 

アルミノケイ酸塩耐火性セラミック繊維は、EC規則 No. 1272/2008の付属書Y、パート3、表3.2のindex No. 650-017-00-8によって適用される繊維で、2つの以下の条件を満たす:a)・・・

のように、2種類とも条件が記載されています。

 

2011年9月1日現在、Candidate Listには上記のEC規則の濃度条件が記載されていますが、今回のSVHCリスト中には条件がないので、アルミノケイ酸塩またはジルコニアアルミノケイ酸塩の耐火性セラミック繊維の全てを対象にする、ということではないかと思います。

 

つまり、既にSVHCリスト(Candidate List)中にある2種類のセラミック繊維のSVHCとしての条件が変更になるという解釈をすればよい、ということになると考えられます。

第6次 SVHC候補20物質一覧 (2011年8月)関連記事

SVHC候補16物質一覧(2008年6月)
REACHのSVHCリストの掲載候補として、16物質が公開されました。
パブリックコメント募集の後、SVHCが決定されます。
第2次SVHC追加候補物質(2009年9月)
SVHC追加候補物質が2009年9月1日に公表されました。
第2次のSVHCリスト掲載候補物質で、15物質あります。
第3次SVHC追加候補物質(2010年3月)
REACHのSVHCとして、第3次追加候補物質が公表されました。
今回はホウ酸類とニクロム酸類が含まれています。
第4次SVHC追加候補物質(2010年8月)
第4次のSVHCリスト(Candidate List)追加候補11物質が公表されました。2010年10月14日まで、コメントが受け付けられています。
第5次SVHC候補7物質(2011年2月)
第5次のSVHCリスト(Candidate List)への追加候補物質として7物質が挙がりました。
第7次SVHC候補13物質一覧(2012年2月)
第7次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに13物質が候補に挙がり、2012年2月28日からパブリックコンサルテーションが開始されています。
第8次SVHC候補54物質一覧(2012年9月)
第8次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに54物質が候補に挙がりました。54物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第9次SVHC候補10物質一覧(2013年3月)
第9次SVHC候補物質(Candidate List収載候補物質)として新たに10物質が候補に挙がりました。10物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第10次SVHC候補7物質一覧(2013年9月)
ECHAが、SVHC(Candidate List収載物質)案として7物質を提案しました。今回は、顔料や染料が挙がっているのが特徴です。7物質の物質名の和訳、CAS No.などを解説します。
第11次SVHC候補4物質一覧(2014年3月)
第11次SVHC候補物質として4物質のコンサルテーションが始まりました。物質名の和訳とCAS No.などを解説します。
第12次SVHC候補10物質一覧(2014年9月)
2014年9月1日、第12次SVHC候補物質として10物質のコンサルテーションが始まりました。RoHS2追加物質見込みのフタル酸4物質が再提案されているところが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第13次SVHC候補2物質一覧(2015年3月)
2015年3月2日、第13次SVHC候補物質として2物質のコンサルテーションが始まりました。どちらも混合物としても指定されているところが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第14次SVHC候補7物質一覧(2015年8月)
2015年8月31日、第14次SVHC候補物質のコンサルテーションが始まりました。今回は第9次に詳細を検討するとしていた2物質が追加になっているのが特徴的です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第15次SVHC候補4物質一覧(2016年2月)
2016年2月29日、第15次SVHC候補物質のコンサルテーションが始まりました。今回SVHC候補物質(Candidate List収載物質)として挙がったのは4物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第16次SVHC候補6物質一覧(2016年9月)
2016年9月6日、第16次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は6物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第17次SVHC候補2物質一覧(2017年3月)
2017年3月9日、第17次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は2物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第18次SVHC候補9物質一覧(2017年9月)
2017年9月5日、第18次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は9物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第19次SVHC候補8物質一覧(2018年3月)
2018年3月8日、第19次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は8物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第20次SVHC候補6物質一覧(2018年9月4日)
2018年9月4日、第20次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は6物質です。コールタール、ピッチと関連のあるピレンが候補に挙がっています。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第21次SVHC候補3物質一覧(2019年3月13日)
2019年3月13日、第21次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は3物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第22次SVHC候補4物質一覧(2019年9月3日)
2019年9月3日、第22次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は4物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第23次SVHC候補5物質一覧(2020年3月3日)
2020年3月3日、第23次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は5物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。
第24次SVHC候補2物質一覧(2020年9月1日)
2020年9月1日、第24次SVHC候補物質が公開されました。今回のSVHC候補物質(Candidate List収載物質)は2物質です。物質名の日本語訳とCAS No.などを解説します。