GSマーク認証のPAH評価物質一覧
GSマーク認証はドイツの法律に基づいて認証される製品安全の認証です。 対象は玩具や自転車、ヘルメット、コピー機、ファックス、シュレッダー、プリンタなどの事務用機器などがあります。 日本のSGマーキングとよく似ています。
PAH評価では、PAHを分析するなりして評価することになります。 PAHはPAHsとも表記される物質群で、多環芳香族炭化水素という分類で分けられている有機化合物です。 PAHの多くが非意図的に生成されてしまうのが問題になっています。
PAHの用途・含有の可能性がある材料
PAHの用途には木材の防腐剤としてのクレオソート油などがあります。 PAHの用途というと添加しているイメージがありますが、必ずしも添加剤としての用途ということではありません。 PAHの製造過程で使用されているというよりは、製造の結果として大気中に放出されているというほうが正しいかもしれません。
PAHを含有している可能性のある材料としては、ゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)などのプラスチック、ラッカー塗料やニス、コーティング剤、革製品などがあります。 ゴム臭やナフタレン臭がする材料にもPAHが含有している可能性があります。 ちなみに、ナフタレンの用途には殺虫剤や防腐剤などがあります。
特定のPAHが検出される材料としては、ポリ塩化ビニルと可塑剤のナフタレン、顔料のアセナフテンとピレン、染料のアントラセンとフルオランテン、殺虫剤のフェナントレンなどがあるようです。
PAH評価対象は16物質
PAH評価では数百種類もあるといわれているPAHのうち、EPA(米国環境保護局)が指定している16物質を対象としています。 これら16物質に対して、16物質の合計値とベンゾ(a)アントラセン単体での規制濃度が定められています。
英語表記の物質名 、 (日本語訳、慣用名他):CAS No.の順で記載しています。
- Naphthalin(ナフタレン):91-20-3
- Acenaphthylen(アセナフチレン):208-96-8
- Acenaphthen(アセナフテン):83-32-9
- Fluoren(フルオレン):86-73-7
- Phenanthren(フェナントレン):85-01-8
- Anthracen(アントラセン):120-12-7
- Fluoranthen(フルオランテン):206-44-0
- Pyren(ピレン):129-00-0
- Chrysen(クリセン):218-01-9
- Benzo[a]anthracen(ベンゾ(a)アントラセン):56-55-3
- Benzo[b]fluoranthen(ベンゾ(b)フルオランテン):205-99-2
- Benzo[k]fluoranthen(ベンゾ(k)フルオランテン):207-08-9
- Benzo[a]pyren(ベンゾ(a)ピレン):50-32-8
- Indeno[1,2,3-cd]pyren(インデノ(1,2,3-cd)ピレン):193-39-5
- Dibenzo[a,h]anthracen(ジベンゾ(a,h)アントラセン):53-70-3
- Benzo[g,h,i]perylen(ベンゾ(g,h,i)ペリレン):191-24-2
アントラセンは、2008年6月に提案されたEU(欧州連合)のREACH規則のSVHCリスト16候補物質(PBT)の1つとして提案されている物質です。
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