新RoHS指令:改訂後の概略


英国は2020年2月1日、EUから離脱しました。(「合意なき離脱(ノー・ディール)」は回避されました)
英国へ製品を輸出している企業やその企業に関連する商流にある企業については、RoHSを含めたCEマーキングに代わる対応が新たに必要になる可能性があります。
※ちなみにUKCAマーキングについてはJETROの概要解説ページを参考に。

改正RoHS指令(2011/65/EU)の概要(2011年7月)

RoHS指令の改正案は2008年12月の欧州議会、理事会への提出から、2年以上も修正が繰り返されましたが、2011年5月にようやく合意され、2011年7月1日に2011/65/EUとしてrecast(改正RoHS指令)がEU官報に公布されました。

recastとは一般的に、改作、改善などという意味がありますが、RoHS指令のrecastの場合は、改正RoHS指令、新RoHS指令、改訂RoHS指令などと呼ばれているようです。ここでは、recast(2011/65/EU)のことを改正RoHS指令と呼んでいます。

 

改正RoHS指令は、20日後(2011年7月21日)に発効され、EU加盟各国は、18ヵ月後(2013年1月2日)までに国内法を制定することになります。
なお、改正前のRoHS指令である2002/95/ECは2011/65/EUに置き換わります。

 

改正RoHS指令の主な概要は以下のとおりです。
個別ページで少し詳しく説明したいと思います。

 

RoHS指令の改訂内容まとめ

1. 対象製品の範囲(カテゴリ)

改正RoHS指令では、改正前RoHS指令の10カテゴリに加え、カテゴリ11として「その他の電気電子機器」が追加になりました。

 

2. 規制対象物質(含有禁止物質)

今回の改正では、新規で追加された物質はありませんが、優先的に禁止を検討すべき物質として4物質が挙げられています。
2018.09.05追記:現在はフタル酸エステル類4物質が追加になりました。

 

3. 適用除外項目

適用除外項目のリストは改正RoHS指令の公布に先行し、2010年9月25日2010年9月29日修正版あり)に公布されています。
内容の見直しに加え、期限が設定されています。
また、カテゴリ8、9専用の適用除外項目が設定されました。
最新の適用除外項目の説明はこちら

 

4. CEマーキング(CEマークの貼付)

EU適合宣言書の作成が必要です。
RoHS適合製品(RoHS指令対応品)には、EUへの上市前にCEマークを貼付しなくてはいけません。

改正RoHS指令の概要(2011.07)記事一覧

改正RoHS指令(2011/65/EU)の規制対象製品は、旧RoHS指令(2002/95/EC)の規制対象10カテゴリに加えて、「その他の電気電子機器」として新たに11番目のカテゴリを設定し、対象範囲を拡大させました。この改正により、除外される製品はあるものの、基本的には定格電圧で、AC(交流)1,000V以下またはDC(直流)1,500V以下の電気電子機器は全て改正RoHS指令の対象製品になりま...

改正RoHS指令では、旧RoHS指令で適用となっていた8つのカテゴリ製品以外の、適用除外になっていた2つのカテゴリ製品と新しく追加されたカテゴリが適用になります。新規に規制対象として追加になるのは、適用除外になっていたカテゴリ8(医療用機器)、カテゴリ9(監視及び制御装置)および新しく追加されたカテゴリ11(その他の電気電子機器)です。カテゴリ8の医療用機器については、改正RoHS指令(2011/...

改正RoHS指令では、全11カテゴリを規制対象機器として指定していますが、以下の装置に関しては適用が除外されています。番号原文和訳aequipment which is necessary for the protection of the essential interests of the security of Member States, including arms, munitions...

六価クロムが含有されている代表的なものに、ネジやナットのめっき後のクロメート処理で生成されるクロム酸の皮膜が挙げられます。一般的には、亜鉛めっきの耐食性向上のため、後処理(化成処理)でクロメート処理というものを行いますが、ここで生成される皮膜(クロメート層)に六価クロムが含有しています。現状では、代替品として三価クロムの皮膜が生成される処理液が市場に出回っており、かなりの電気電子機器で六価クロムか...

RoHS指令対応をするには、規制物質(6物質)の含有濃度を把握する必要があります。この濃度は、均質材料(均一材料)中にどれだけの規制物質が含有されているかを計算するという定義になっています。均質材料(均一材料)の定義については、改正RoHS指令(2011/65/EU)の第3条20項で、‘homogeneous material’ means one material of uniform comp...

改正RoHS指令(2011/65/EU)での制限物質(規制物質)は、旧RoHS指令(2002/95/EC)で指定されていた物質と同じ6物質がANNEXU(付属書U)で指定されています。改訂案ではフタル酸系の物質を中心とした追加物質案が出ていましたが、最終的に追加は見送られています。ご参考:ANNEX II(付属書U)の和訳Restricted substances referred to in A...

規制物質の最大許容濃度はANNEXU(付属書U)で物質ごとに決められています。タイトルには「weight in homogeneous materials」とあり、直訳すると「均質材料(均一材料)中の重さ」となり、均質材料中の重さによって濃度が決められていることが分かります。これだけでは分かりにくいので説明すると、RoHS指令での含有物質濃度は質量百分率で算出するということになります。正直言うと、...

2011年7月21日に施行された改正RoHS指令(2011/65/EU)では、kiseibussitunoudoのページでも説明しましたが、新規で追加になった規制物質はありません。ですが改正RoHS指令の前文で以下のような文があり、REACH規則の付属書]W(認可物質リスト)、付属書]Z(制限物質リスト)を考慮して定期的に見直すことになっています。The annexes to this Direc...

2011年7月21日に改正RoHS指令が2011/65/EUとして発効されていますが、旧RoHS指令にあった適用除外項目の内容が若干変更されて改正されています。適用除外項目については、2011年9月25日付でEU官報に公布されている分と、その誤記修正版が2011年9月29日に公布されており、改正RoHS指令では、この適用除外用途はANNEXV(付属書3)に収載されています。最新版は、RoHS2:A...

2011年9月8日付で、RoHS指令に適用除外用途が追加されました。追加されたのは鉛とカドミウムの用途2種類で、2011年9月10日にEU官報で2011/534/EUとして公布されています。鉛はNo.7(c)-W、カドミウムはNo.40に追加になります。【適用除外用途追加分】7(c)-IVLead in PZT based dielectric ceramic materials for capa...

2017年11月21日、RoHS2(改正RoHS指令)のスコープ、つまり適用範囲などを修正する「修正官報」が公布されました。DIRECTIVE (EU) 2017/2102です。以下、修正された内容を簡単に説明します。このページでは、注1:RoHS2(2011/65/EU)のことを単に「RoHS2」と表記しています。注2:2011/65/EUの修正指令((EU) 2017/2102)は、「修正指令...